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地震って!

2010.10.29

地震って!
設計部  岡  哲男
「地震国である日本を、地震のない国にする方法を説明せよ」と、約35年前の某大学院の入学考査で出題された構造論文(結果として不合格)に戸惑い、“地球の地中のマグマを掻き出し、海溝プレートを削り—“といった奇抜な考え方が解答とか—– そういえば、私が勤務していた構造事務所にその大学の清家 清教授が来られて、「岡君、霞ヶ関ビル(当時としては最高高さの超高層ビル)を金を掛けずに一瞬のうちに壊す方法はないかね!」先生曰く“何基かあるエレベーターに詰めるだけのプロパンボンベを積み、栓を全開してエレベーターを超低速で上昇させ(詰まり、ビルをガスで充満させる)、最下階でマッチで点火すれば、解体できるのではないかね?しかし問題は点火する人、要は、猫の首に鈴を付けるネズミを誰がやるかだ!“って、笑いながらそれでいて真剣な顔をしていた先生の顔が忘れられません。先程の解答といい、清家先生の考えている事といい、この大学は不思議な先生の集まりかな?
(参考までに、清家先生は林 昌子先生や丹下健三先生(都市計画)等と肩を並べた著名建築家(故人)、因みに、御子息の篤氏は現慶応義塾大学塾長)さて本題に入ります。前述の奇抜な方法は非現実的ですが、日常私達は大小の地震と向き合っていかなければなりません。現行の地震に対する建築学会等の設計基準は確立されてはいるものの、大地震に遭遇し建物の大きな損壊は免れたとしても、倒れてくる家具等から身を守らなければなりません。
では、その揺れを“柳に風”のようにやり過ごしながら建物自体は最小の被害で済ませる、免震、制震を安価に取り入れる方法はないものか。或る設計で、(1階:鉄骨造 2階:木造の混構造工場併用住宅)で、施主から免震工法採用の依頼があり、日本建築センターに相談したところ、鉄骨造や木造のような軽量建物は強風時揺れて“船酔い”のような錯覚に陥る苦情が多数よせられているとの説明がありました。ならば制震工法はどうでしょう。或る既存の木造2階建住宅のリフォームを兼ねて耐震診断を実施しての結果補強を施し、更に制震ダンパーを付加して限界耐力設計の結果、想定される地震の揺れをダンパーが吸収しながら建物自体は安全側に働く結果が得られ、地震に対する危惧が減少したと思われます。先日、建築士会の講習で地盤改良杭による免震工法の発案者である東大の先生と知りあうことができ、福島の先生の研究機関での講習を11月中旬に受ける機会が得られました。既に国交省へのパテント出願済とのこと。殆どの建物が建設される土地の耐力増加の為に、地盤改良が付き物になっている現状で、一般の鋼管による地盤改良に大きな金額の負担を要さない免震性能を付加した工法、これが具現化すれば、風圧力での揺れが発生しない、更に地震力に対して地盤部分での免震、建物自体での制震の合体が可能になるなんて非現実的な話でしょうか?。勿論講習の結果如何ですが——Continue

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